2018/07/08(日) 05:57:06





「レイナサマぁ……」

「なんでアンタが泣くのよ」

「くやしくてぇ……」

麗奈は女の頭を撫でた。

ふと、麗奈の携帯電話が鳴った。
知らない番号だった。

「出てください」

女が言った。
麗奈は、通話ボタンを押した。

スピーカーから、声がする。


  2018/07/08(日) 05:57:37

「麗奈ちゃん」

麗奈は、身体を震わせた。

ママの声。

「な、なによ。嫌味のひとつでも……」

ひどく狼狽しながらも、麗奈は切ることができなかった。
言いたいことが、いっぱいあった。

どうやって伝えていいか、わからなかった。
彼女の頭脳を持ってしても。

だから、相手の言葉を待った。


  2018/07/08(日) 05:57:55

「好きなときでいいから、かえってきなさい」

「パパは……」

「愚民と呼んであげなさい。きっとよろこぶわ。
 それじゃあ、また」

通話が終わる。
麗奈は、その場にぺたり、と座り込んだ。


  2018/07/08(日) 05:58:14

「ねえ」

「なんでしょうか!」

「だきしめて」

「はい!」

プロデューサーの女が、麗奈を腕で抱く。
女の肩が、涙で濡れる。


  2018/07/08(日) 08:25:29

「…………アンタを、アタシのママにはできないわ」

「なんでしょうか! 聞こえません!」

「アンタはアタシのコマで十分よ。
 
 ホラ、もっと強く抱きしめなさい!」

麗奈は女の胸に顔をうずめた。
声が、漏れないように。


  2018/07/08(日) 08:25:57


「じゃあ、一週間くらい徳島に帰るんだな?」

「うん。家族を大切にしないやつはヒーローじゃないからな!」

LIVEバトルが終わり、車は女子寮の前に停まっていた。

「P、ちょっと肩を貸してくれないか」

光がプロデューサーに言った。
彼は運転席から降りて、お姫様にするように光に手を貸した。


  2018/07/08(日) 08:26:28

言葉の割に、光の足取りは軽かった。
女子寮の扉が開く。その音が、ホールに響き渡る。

「それじゃあ、俺は……」

彼が去ろうとしたとき。
光が彼の背中を抱きしめた。

「P、ありがとう」

「なにがだよ」

「アタシ、いっぱいワガママ言っちゃって……やめるとか、やめないとか…色々」

「いいよ。これからたんまり稼がせてもらうからな」

男が笑う。


  2018/07/08(日) 08:26:47

光が、彼の背中に顔をうずめながら、言う。

「Pは、アタシのヒーローだよ。最高の、ヒーロー……」

彼は、言葉を詰まらせた。
プロダクションの時計塔の針が、コチ、コチと音を立てて動く。
http://u111u.info/jT66

10   2018/07/08(日) 08:27:08

おしまい


引用元:http://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1530996987/